前立腺がん闘病記(6) 成田山新勝寺 神頼みの御護摩祈祷と豪華うな重

入院

紹介状を持って初めて有明病院を訪れ、初診でいきなり手術日が決まってしまった。

自分で手術を選択したので覚悟はできているが、やはり不安は残る。 不安といっても手術への不安ではなく、手術後の後遺症に対する不安である。 特に尿漏れ・・・ タラタラと垂れ流し状態になってはたまらない。 術後の生活に大きく影響が出てきてしまう。

しかし手術に関しては、自分では何もできない。 多少なり事前に何か手を打つ方法は無いかと考えた結果、「そうだ! 成田山へ行こう」と神頼みに走ることにした。 ついでに滋養強壮にうなぎを食べ、癌に対する抵抗力をアップすることにした。

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成田山新勝寺へ

成田山は自宅から電車を乗り継ぎ、1時間ほどの所にある。 あまり近いとは言えないが、以前から何度か訪れているので馴染みがある。 また妻が成田空港でのボランティアで、トランジットで成田に降り立った外人客の観光ガイドを行っていたのでかなり詳しい。

残念ながら桜のピークは過ぎてしまったが、天気も良いので妻と二人で出かけることにした。

成田山表参道

平日のせいか、人通りが少ないような気がする。

成田山参道

成田山新勝寺 総門

緩く下る参道を進むと、左に大きな総門が現れる。 平成19年(2008)に建立され、総欅造りだそうだ。

成田山総門

三重塔

本堂前の右手には三重塔が立つ。 正徳2年(1712)建立というが、極彩色に彩られているので時代は感じない。

成田山三重塔

枝垂れ桜と鬱金桜(うこん桜)

護摩祈祷の時間には早いので、本堂裏手から公園の方へと散歩する。 ソメイヨシノは既に終わっていたが、枝垂桜が満開を迎えていた。

枝垂れ桜

また黄色い花が咲く木があり、名札には「鬱金桜」とあった。 自宅に帰って調べると、開花後徐々に白くなり、最終的にはピンク色を帯びるという。 日本酒の「黄桜」の名は、この花にちなむそうだ。

うこん桜

神頼みの御護摩祈祷と御火加持

成田山新勝寺は、日に何度かの御護摩祈祷が行われる。 祈祷を申し込めば良いのだが、新勝寺の御護摩は申し込まなくても無料で参列できる。 祈祷料をケチる訳ではないのだが、まぁ無料ということなので・・・

開始時刻の5分ほど前に本堂に戻ると、華やかな法衣に身を包んだ僧侶の方々が、護摩祈祷に向けて本堂に入っていった。

成田山新勝寺

急いで私たちも靴を脱いで本堂の中へとお邪魔する。 本堂内部は写真撮影禁止なので、ここからは文章での説明となる。

護摩祈祷が行われる護摩壇の前には、すでに多くの人が座っていた。 せっかくなので、護摩壇がよく見えるように一番前に陣取ってみた。

着座と同時に大きな太鼓が鳴り響き、護摩祈祷が始まった。 一番の高僧と思われる方が護摩壇前に座り、燈明のような所から小さな火を取り護摩木に点火すると、瞬く間に燃え上がる。 響き渡る読経と燃え立つ炎が、お不動様のご利益を伝えるようで雰囲気は最高潮。

やがて祭壇前に何人かの僧侶が並ぶと、参拝客が自分のカバンなどを持って前に進み出ていく。 自分のバッグや財布など持ち物を僧侶に預けると、僧侶が御護摩の火に当てて戻してくれる。

これは「御火加持」といって、お不動様のご利益のお裾分けを頂く儀式だそうだ。

この日に成田山に来た目的は「病気平癒」である。 しかし根が卑しいせいか、小さなバックに財布を入れ、「お金が貯まりますように」と心の中でつぶやいて、お坊さんに「御火加持」をお願いしてしまった。

護摩祈祷が終了すると、最後は「お手綱参拝」である。

不動明王の飾られる祭壇の真下まで進むと、手すりのような棒に五色の綱がぐるぐると巻かれている。 この綱は不動明王の左手と結ばれているそうで、手すりの綱に触れば不動明王と握手したことになるそうだ。(正しくは迷いや苦しみから救い出す綱である)

不動明王が右手に持つ剣は、煩悩を断ち切る剣。 いまから断ち切られると、この先の人生が面白くなくなってしまう。 死ぬ直前に剣を振るってもらい、この世に未練なく旅立てるようにしてもらいたいものである。

本来の目的を忘れ、「御火加持」で「お金が・・・」とやってしまったが、護摩祈祷を終えてスッキリ晴れやかな気分となり、お腹も空いてきた。 さぁ! 次はうなぎを食べに行こう。

老舗「川豊」でガン特効薬の「特上うな重」

成田で食事するなら「鰻」であろう。 昨年は駿河屋に行ったが、今年は外国観光客も多い老舗の「川豊」に行くことにした。 相当混んでいるかと覚悟していたが、10分程の待ちだというので2階席をお願いした。

川豊は店頭で鰻を捌くことで人気があり、外人客や子供達には珍しい光景なのだろう。 いつも多くの人がガン見している。

川豊本店

まるで天守閣に登るような急階段で、2階の座敷に上がる。 明治44年(1911)に建てられた純和風建物で、登録有形文化財に指定されているとのこと。

川豊本店

レトロな雰囲気の座敷だが、注文は各テーブルに置かれたタブレット。

まずはビールで体内消毒をして、つまみの骨せんべい。 前立腺がんは骨やリンパに転移しやすいというので、カルシウムを摂って骨を補強して転移を防ぐ。

骨せんべい

そしてメインのうな重。 滋養強壮に優れた鰻を食べ、癌に対する抵抗力をアップさせようと、奮発して「特上うな重」を注文する。 少々高いが、ガン治療薬を買ったと思えば良いだろう。

川豊

そっと箸を通すとふんわりと切れ、口に運ぶとふっくらとした厚みのふわトロ系。 歯ごたえがあるような無いような・・・ 美味い!としか言いようがない。

最初の1/3はじっくりと味わいながら食べ、次の1/3はガツガツと口に運び、最後の1/3は名残りを惜しんで・・・ あぁ 満足!! 

 

次は退院後に、体力回復のためにもう一度食べに行かないといけない。 術後の後遺症で尿漏れを起こしていても、紙おむつか尿漏れパッドをつけていれば大丈夫だろう。 こうした欲望がある限り、そう簡単にガンなどには負けられない!

 


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