国宝といえど たかがお茶碗 されど曜変天目

曜変天目茶碗

旅行日 : 2019年4月21日

「曜変天目茶碗」 12~13世紀に中国で造られ、世界で3つしか残っていない。 そしてその3つすべてが日本にあり、国宝指定されている。

その中の一つである、京都大徳寺塔頭・龍光院所蔵の曜変天目茶碗が、滋賀県甲賀市にある美術館で公開された。 通常は非公開なため、実物を目にする機会はほとんどない。

滋賀とはとんでもなく遠い。 いくら国宝といえど、たがが湯飲み茶碗である。 されど「曜変天目」・・・

この機を逃すと、残された短い人生の中でお目にかかる機会を失う可能性がある。 そこで思い切って、お茶碗を見に滋賀まで遠征することにした。

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ミホミュージアム

滋賀県甲賀市にある「ミホミュージアム」。 今回の特別展があるまで、聞いたこともなかった美術館である。

東京から新幹線で米原まで行き、在来線で草津へ。 そこでレンタカーを借りて、甲賀市の山奥にあるミホミュージアムに向かう。

枝垂桜が出迎えてくれた

美術館のかなり手前の駐車場に誘導され、シャトルバスで美術館入口に向かう。 枝垂桜が満開で、その見物客が多いようであった。

ミホミュージアム

途中にあるトンネルから枝垂桜を振り返る。

ミホミュージアム

トンネルを抜けると吊り橋を渡り、美術館入口へと導かれる。

ミホミュージアムミホミュージアム

このミホミュージアムは、フランスのルーブル美術館にあるガラスピラミッドを設計した、I.M.ペイという建築家によるもの。 環境保護のため、建物全体の約80%を地中に埋設して、山に溶け込ませているそうだ。

ミホミュージアム

曜変天目茶碗

今回公開された大徳寺の曜変天目茶碗。 現存する3椀の中で一番地味だと云われている。

しかし実際に見た瞬間、「ウワッ! 星座みたいだ・・・」 これが第一印象で、けっして地味ではなく、思わず見入ってしまう一品であった。

曜変天目茶碗

現存する3椀が揃った写真のビニールフォルダーを記念に購入。

曜変天目茶碗曜変天目茶碗

左 : 京 都 大徳寺龍光院所蔵

中央: 世田谷 静嘉堂文庫美術館所蔵

右 : 大 阪 藤田美術館所蔵

 

下は2017年に大阪の藤田美術館を訪れ、曜変天目茶碗を鑑賞した時の記録である。

藤田美術館 国宝「曜変天目茶碗」を楽しむ
2017年3月12日~13日東洋陶磁美術館で、台北・故宮博物院所蔵の「北宋汝窯 青磁水仙盆」を見た後、中の島を散歩しながら藤田美術館に向かう。 目的は「曜変天目茶碗」を見ることである。昨年夏に訪れたが、この時は外部に貸し出し中とのこ...

今年の春、この3椀が同時期に公開された。 しかし東京、奈良、そして滋賀と、場所が離れての公開である。 ぜひとも3椀並べて公開してもらいたいものである。

石山寺 紫式部ゆかりの寺

ミホミュージアムを見学したのち、紫式部で有名な石山寺が近いので訪れる。

石山寺

毘沙門堂

毘沙門堂に祀られる毘沙門天(中央)、吉祥天(右)、善膩師童子(左)。

石山寺

石山寺の名の由来 硅灰石

石灰岩が花崗岩と接触し、その熱作用で変質した石だそうで、石山寺の名の由来だそうだ。 タモリが喜びそうな場所である。

石山寺

紫式部

紫式部が石山寺参籠中に、源氏物語を起筆したという伝説が残る。 他に中学か高校の教科書に出てきた「蜻蛉日記」や「更級日記」の作者も詣でているそうだ。

座敷わらしか背後霊が写りこんだような、少し恐ろしげな写真になってしまった。

紫式部

お寺の奥の方には、もう一つ紫式部の像がある。

紫式部

源頼朝供養塔

右が源頼朝の供養塔。 左の宝篋印塔は亀谷禅尼供養塔で、重要文化財だそうだ。

石山寺

天智天皇の石切り場

天智天皇とは古い! 中大兄皇子で、蘇我入鹿を殺して大化の改新を行った人物である。 歴史の教科書の中の人だと思っていた。

天智天皇石切り場

旧中山道 草津宿

草津駅に戻り、レンタカーを返却。

草津は中山道と東海道が分岐・合流する宿場町である。 日本橋から京都を目指して旧中山道を歩いているが、まだ木曽路の入口に到着したばかり。 少し早いが草津宿を少しばかり偵察してきた。

中山道と東海道の分岐・合流点

京都から江戸に向けて歩く場合、右に曲がると東海道、左のトンネル方向に進む道が中山道である。

草津宿

草津宿本陣と街道風景

17時を過ぎていたため、本陣は閉まっていた。 大福帳には浅野内匠頭や吉良上野介の名が残るそうである。

草津宿

本陣の向かいに歴史を感じる建物が残るが、全体的には宿場としての印象は薄いようである。

草津宿

曜変天目茶碗は「器の中に宇宙が見える」と評されている。 今回公開された大徳寺の曜変天目は、深い青に輝く椀の内側に、斑紋が帯状に浮かび上がっている。 まさに「夜空に浮かぶ星座」である。

たった一つのお茶碗を見に、わざわざ遠く滋賀県まで足を伸ばしたが「来て良かった!」と思う。 やはり写真やパンフレットでは伝わらない美しさを持っていた。

せっかく滋賀まで来たので、この日は草津に一泊し、翌日は近江八幡の街歩きに出かけることとした。

豊臣秀次と近江商人発祥の街 近江八幡(滋賀県)
訪問日:2019年4月22日 滋賀県の甲賀市にあるミホミュージアムに、国宝の曜変天目茶碗を見に訪れた。 はるばる滋賀まで来たので、1泊した翌日に近江八幡を訪れた。 近江八幡は、豊臣秀吉の甥である豊臣秀次が開いた城下町で、商業都市...

 


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