旅行日:2022年8月30日~31日
宝暦2年(1752)、現在の千葉県鴨川市に生まれた稀代の彫工「伊八」こと武志伊八郎信由の作品は、主に南房総の寺社に集中しているという。 この伊八が残した作品の多くには、躍動感溢れる波が彫られることから、別名「波の伊八」とも呼ばれ、葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」に大きな影響を与えたといわれる。
この波の伊八の作品を見に、2018年3月に房総の寺社をいくつか回った。 この時に代表的な作品は見たが、まだ見ていない作品も多い。 そこで久し振りに房総に宿をとったので、再び伊八の作品を目指して、南房総にある寺社をめぐることにした。
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大山不動尊 不動明王が龍に変身
南房総の山間部に大山千枚田と呼ばれる棚田があり、東京から一番近い棚田の里だという。 この棚田のすぐ近くにあるのが大山不動尊。 この大山不動の不動堂向背にある飾りと、堂内にある倶利伽羅龍が伊八の作品だという。
大山千枚田を眺めてから大山不動尊に向かう。 もう刈り入れが始まっていた。
仁王門を潜り、手摺に掴まらないと落っこちそうな急な階段を上がると不動堂である。 この写真は階段上から下を覗き見る。 下りも怖そうだ。
向背の屋根下に伊八の作品が飾られている。 ちなみに「向背」とは、本堂の前方に伸びる屋根で、参拝時の雨避けの為だそうだ。
左右にある「木鼻(きばな)」と呼ばれる部分も伊八の作品である。
本堂には右に不動明王、左が伊八の作品といわれる倶利伽羅龍が祀られている。 大山寺のパンフレットによると、倶利伽羅龍は不動明王の化身で、宝剣に絡みついた龍が、その剣を飲み込む姿をとっているそうだ。
金乗院 仙人たちが酒飲んで浮かれてる
波の伊八の生誕地近くにある金乗院。 大日堂の欄間に伊八の作品を見ることができる。 この金乗院は、平安時代初期に弘法大師ゆかりの大日如来像を安置するために建てられたという、えらく歴史のあるお寺であった。
「酒仙の図」は、七人の仙人たちが甕の中にある酒を酌み交わし、陽気に歌い踊るめでたい図(吉祥図)だそうだ。 要するにどんちゃん騒ぎをしている図である。
誕生寺 日蓮上人誕生の地
波の伊八とは関係ないが、日蓮宗の大本山である誕生寺を訪れる。 日蓮宗を開いた日蓮上人誕生の地に建立された寺である。
寺の前の小湊漁港?から、鯛の浦への遊覧船が出ている。 本来深い所に棲んでいる真鯛が海面近くで群れなして泳ぎ、日蓮ゆかりの聖地として漁民に保護されているそうだ。 天然記念物らしく、以前から知っていたが見たことは無い。 今回もパスし、のんびりしようと早めに宿に向かう。
宿 中屋 なかなかの料理で大満足
今回予約した宿は、安房小湊にある「宿 中屋」。 料理自慢の宿というキャッチにつられて予約した。
通された部屋は海に面し、眼前に広がる海は太平洋。 対岸はアメリカだ・・・
海辺に降りて、久しぶりに磯遊び。
豪華な夕食に舌鼓
いよいよ夕食である。 まずは前菜。 海の幸と寒天の梅和え、枝豆のムース、勘八の南蛮漬け。
刺身の盛り合わせは伊勢海老、サザエ、勘八、鯛、鮪、烏賊。 美味すぎる!!
伊勢海老とサザエをアップで・・・
鮑の踊り焼きまで出てきた。 コリコリだが柔らかい。 ウメェ~ェ
その他 椀物、鯛の兜焼き、冷たい鉢物、更に牛肉の石焼。 そしてご飯は鰻の櫃まぶしときた。 文句なしの夕食であった。
究極の鯛刺身 卵かけご飯
朝食も魚づくし。 とくに熱々のご飯に鯛の刺身を乗せ、出し汁でといた卵かけご飯。 これは美味い、絶品卵かけご飯。 あまりの美味さに写真を撮るのも忘れ、一気に掻き込んでしまったが、どんぶり大盛りで食べたかった!
味噌汁はもちろん伊勢海老である。 美味い・・・
期待した通りの食事で大満足の宿であった。
清澄寺 ”きよすみでら” だと思っていた・・・
ゆっくりと宿をチェックアウトし、2日目に最初に訪れたのは「清澄寺」。 日蓮上人が日蓮宗の開宗を宣言した寺だそうだが、今まで「きよすみでら」と読むものと思っていたが、正しくは「せいちょうじ」だった。
御神木の「千年杉」から本堂と祖師堂を望む。
茅葺屋根の中門。 ここにも楠木の大木があり、寺の歴史を感じさせてくれる。
誕生寺とか清澄寺は昔から名は知っていたが、今回初めて訪れた。 清澄寺の読みかたを間違って覚えていたが、誕生寺に関しても、昔は童謡の狸囃子の舞台となった寺だと思っていた。 この件に関しては、以前に人から「それは木更津の証城寺」と指摘されて間違いに気づいた。
真野寺 北条義時が私財を投じた寺
本堂の欄間にある透かし彫りが伊八の作といわれている。 寺の縁起を読むと、今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公である北条義時が私財を投じて寺を建立し、覆面千手観音を安置したという。
覆面千手観音は、お面を被っているので「覆面観音」と呼ばれているが、残念ながら見ることはできなかった。 11月に御開帳されるそうだが、この時もお面を外さないので、素顔を見ることができないそうだ。
石堂寺 2度目の訪問で見ることができた
4年ほど前の「波の伊八めぐり」で石堂寺を訪れたが、お寺の方が不在で見ることができなかった。 そこで今回再訪することにした。
境内に立つ多宝塔の4面ある外壁面に、波の伊八が彫った16枚の壁面彫刻が取り付けられていた。 下の多宝塔の1階の各外壁面に、扉の左右上下に4枚づつ取り付けられていた。
現在は多宝塔から取り外され、客殿内の廊下に並べて飾られている。 今回は住職さんが在宅しており、親切にも客殿内を色々説明をして頂いたが、残念ながら写真は禁止であった。
今回の「波の伊八めぐり」はこれにて終了。 「県民割(ブロック割)」を利用したので、宿泊費だけでなくお土産や飲食に使えるクーポンも得た。 そこで道の駅を数軒回って、農産物や魚の干物をクーポンを利用して買い込み帰路についた。
さぁ 次は「全国旅行支援」 どこへ行くか? 一応頭の中には伊豆長岡に行き、北条時政が施主となった、運慶作の国宝3体の仏像を拝みに行こうと計画中・・・