中山道 第65宿 愛知川宿(2) 宿場の名残りが僅かに残る

彦根市出町

旅行日:2023年5月25日

日本橋から65番目の宿場である愛知川宿。 ”あいちがわ” ではなく、”えちがわ”と読む。 古代からの宿駅で東山道もここを通っていたとみられている。

愛知川宿は五箇荘、近江八幡、日野と共に近江商人発祥の地の一つとして発展し、この地域の物産の集散地で、麻布の生産と販売は明治になってからも中心産業であった。

しかし現在では道路沿いの普通の街となってしまい、宿場の面影は薄くなってしまった。

 

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コースデータ

  • 日 付  :2023年5月25日
  • 街道地図 :鳥居本~高宮宿~愛知川宿
  • 宿間距離 :鳥居本宿 ~ 高宮宿  1里18町(5.9Km)
  •      :高宮宿  ~ 愛知川宿 2里(7.9Km)
  • 日本橋から:累計121里7町(475.9Km)
  • 万歩計  :26,692歩

※ 街道地図はGPSログを基に、実際に歩いたコースをGoogleMap上に作図

愛知川宿入口 その1

愛知川宿の東山道時代は「恵智川」と書かれたようで、宿場の西を流れる愛知川に由来する名である。 近江上布の生産や集散地として栄えただけでなく、「びん細工てまり」という愛知川に伝わる伝統工芸品もある。

 

愛知川宿の入口には「中山道愛知川宿」と書かれた冠木門のようなゲートが迎えてくれる。 しかし往時の宿場入口は、もう少し先にあった。

中山道の先人たちのブログを見ると、この冠木門の先に「地蔵堂」が祀られているとあるが、どこかに移設されたようだ。

愛知川宿

黒塀の旧家は、「近江商人亭」という料亭。 蚊帳・呉服・麻織物商を営んだ、近江商人の田中家別邸だった建物を利用している。

近江商人亭

街道沿いの街灯を吊るすアームには、街道を行き交う人々の姿が切り絵細工のように飾られている。

愛知川宿

愛知川宿入口 その2

冠木門に迎えられて愛知川宿に入ったように思えるが、そこから200mほど進むと「愛知川宿北入口」の碑が立つ「群分地蔵堂」がある。 ここが宿場の入口だったようである。

郡分地蔵堂

郡分(こおりわけ)地蔵堂の右を流れる用水には、「中の橋川」という名が付いている。 この川は愛知郡と神崎郡との境になることが“郡分”の由来となった。

地蔵堂の前には「愛知川宿北入口」の標柱が立つ。

郡分地蔵堂

地蔵堂の脇には、たくさんの石地蔵や道祖神が祀られている。

郡分地蔵堂

広重が描いた愛知川宿の浮世絵レリーフや、書状集箱と書かれたポストを眺めながら進むと、屋根に軒行燈を載せた家がある。 行燈に「田中園」と書かれていたが、何の店か不明である。

愛知川宿 愛知川宿

寶満寺の太鼓堂

寶満寺(ほうまんじ)入口に立つ説明文を読むと、境内に親鸞聖人お手植えと伝わる紅梅とハナノキがあるという。

ハナノキは日本固有種で、カエデの一種だそうだ。 細久手宿の手前に「南垣外ハナノキ自生地」があったが、どれがハナノキなのか判らなかった。 今回は是非見たいと境内に立ち寄ったが、今回も判らなかった。

寶満寺

愛知川宿本陣跡

寶満寺隣の日本生命の建物は愛知川宿本陣跡。 その隣には「愛知川ふれあい本陣」という名の交流館が建つ。

この交流館も本陣跡だが、本陣とはかけ離れた西洋風の建物である。 旧近江銀行をリニューアルしたそうだ。

愛知川ふれあい本陣

八幡神社と高札場跡

八幡神社参道入口の常夜灯の前に、高札場跡の石柱が立つ。

八幡神社

愛知川宿出口へ

現在の愛知川宿は宿場の面影は薄く、地方の商店街といった感である。 しかしよく見ると往時を偲ばせる雰囲気を残す部分もあるようだ。

愛知川宿

竹平楼 旧旅篭の「竹の子屋」

「料理旅館竹平楼」の建物は、国文化財に指定されている。 宝暦8年(1758)創業の旧旅籠「竹の子屋」で、4代平八の時に屋号を「竹平楼」に変えたそうだ。

「竹平楼」の横には、明治11年(1878)に明治天皇北陸巡幸時に立ち寄った記念碑が立つ。 この巡幸には岩倉具視・大隈重信・井上馨・山岡鉄舟等が随行したそうだが、凄いメンバーである。

竹平楼

不飲川と「びん細工てまり」

愛知川宿の京方出口手前に「不飲川(のまずがわ)」が流れている。 上流の池で平将門の首を洗ったら血で濁り、川の水が飲めなくなったそうだ。

この川に架る不飲川橋の欄干には、愛知川の伝統工芸品である「びん細工てまり」のモチーフが飾られている。

びん細工てまり

近江鉄道 愛知川駅

不飲川橋の先にある冠木門風ゲートでUターンし、近江鉄道の愛知川駅に向かう。 愛知川駅のすぐ横は新幹線高架で、ホームで電車を待つ間、頭上を凄い勢いで新幹線が突っ走っていく。

愛知川駅

おまけの彦根城

この日の宿泊地である彦根に移動。 早めにホテルに着いたので、前回彦根城を訪れた時に行けなかったキャッスルロードをぶらついてみた。

賑やかな通りだろうと思っていたが、夕刻だったせいか人がいない・・・

キャッスルロード

彦根城の京橋から城内へ入ってみる。

彦根城京橋

京橋口御門跡の先に、旧西郷屋敷の立派な長屋門が残る。

京橋口御門跡

そのままお堀沿いに歩き、二の丸佐和口からホテルに戻る。

彦根城 佐和口多聞櫓

愛知川宿は宿場の雰囲気をわずかに残すのみであった。 それより高宮宿から愛知川へ至る街道沿いは、ベンガラ色の建物や塀が多く立ち並び、広がる水田とともに豊かさを感じる街道風景が印象的であった。

明日は街道を途中で外れ、近江商人の中心地ともいえる五個荘に寄道する予定である。

 


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