旅行日:2023年8月26日
今年6月に前立腺がんの摘出手術を受けた。
それから約3ヵ月。 尿漏れと戦いながら、術後の飲酒を控えるなどまじめな生活を送ってきた。 その甲斐あってか、尿漏れはかなり改善された。
では久し振りに山の空気に触れようと、北アルプスを眺めに出かけることにした。
尿漏れを起こす一抹の不安があるので、お供は尿漏れパッドである・・・
宿の予約はまったく取れない
術後の体力回復状況や尿漏れの具合を見ての計画なので、早期に宿の予約などはできない。
「よしっ! 行こう・・・」と山小屋を含めて宿を探したが、当然どこも満室。
宿を探しまくり、1日目は白骨温泉。 2日目は長野と新潟の県境に近い姫川温泉。
宿を中心に考えると、上高地で穂高を、そして栂池自然園から白馬を眺めることにした。
上高地 せめて徳沢まで行きたかった・・・
沢渡に車を置き、尿漏れパッドをお供にして上高地に向けてバスに乗り込む。
河童橋からは、奥穂から前穂への吊尾根が綺麗に見えていた。
混雑する河童橋を後に、梓川沿いの遊歩道を上流に向かって歩きはじめる。
「おっ! 調子よいぞ・・・」 少し早歩きすると尿漏れしていたが、山での歩くペースは大丈夫そうだ。
明神岳を見上げながら、梓川の河原で昼食タイム。
山の昼飯定番は「サッポロ一番塩ラーメン」 久し振りに山の実感が湧いてきた。
山に登らない気安さから、のんびりしすぎてしまった。
徳沢まで行く予定だったが、時間が無くなり戻ることに。 あぁ 徳沢園に泊まれれば・・・
結局 尿漏れもなく車に戻ってきた。
白骨温泉「小梨の湯 笹屋」
白骨温泉は何度か訪れているが、「小梨の湯 笹屋」は初めて。
この地方独特の「雀おどし」と呼ばれる棟飾りを持つ、古民家を利用した部屋数10室のこじんまりとした宿。
「日本秘湯を守る会」の会員宿でもあった。 確かスタンプ帳を持っていたはずだが?
福井の永平寺を彷彿とさせる長い階段で、古民家を移築した離れの部屋へ。
目の前に緑のカーテンが広がり、心地よい風が流れる静かな部屋。
白骨温泉の名にふさわしく、温泉に含まれる石灰分が湯舟に付着し、白濁した湯が満ちる内湯。
湯舟に身を沈めると、ほんのりとした硫黄の香りに包まれ、いやがおうでも温泉気分は高まり、極上の時間が流れる。
夕食後に貸切露天風呂に行くと、外は雷鳴と激しい雨。 残念ながら風呂に入れる状態ではなかった。
食事は山奥の宿らしく、山菜や高原野菜などの地場産食材を中心に・・・
せっかくの美味しい料理だが、利尿効果のあるアルコールは控えめに・・・ 生ビール一杯で我慢する。
美味しい料理、ご馳走さまでした。
栂池自然園へ
翌日は白馬の先にある栂池に移動。
ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継ぎ、一気に標高1900mへ。
しかし 自然園に向けて歩き出すも、5分もしないうちに雨が降り出す。
栂池山荘に逃げ込んだが、雨は豪雨の様相。 そして激しい雷も・・・
自然園は諦め、雨が小康状態になった機をとらえてロープウェイに戻る。
しかしロープウェイは運航中止! 乗り場には人が溢れ、整理券が配られる。
1時間ほど待たされ、運航再開。 無事に下界に降りた頃には、青空が広がっていた。
千国街道(塩の道) 牛方宿と話題のレストラン
ロープウェイに乗っただけで終わった栂池。 時間が余ったので、近くの牛方宿を訪れる。
栂池付近には、江戸時代に糸魚川から松本へ塩などを運んだ「千国街道」、 別名「塩の道」が通っていた。
道路沿いには、昔の街道風情を残す石仏群を見ることができる。
牛方宿は、かつて物資を運んだ牛方と牛が一緒に寝泊まりした宿で、 千国街道沿いには、何軒もの牛方宿があった。
しかし明治期に新しい国道ができると街道はその役目を終え、 牛方宿もいつしか姿を消し、現在はここ小谷村の牛方宿のみが現存する。
広い土間の奥に座敷がある。
土間には荷物を運んだ牛を入れる牛小屋があり、牛方はその上の中2階のような所に寝泊まりして、下の牛の様子を見ながら寝たそうだ。
幕末頃に建てられた塩蔵が残る。
塩を保管するため、腐食してしまう釘は使わずに建てられている。
牛方宿のすぐ隣にも、綺麗な茅葺屋根の大きな古民家がある。
牛方宿の説明をしてくれた地元の人に聞くと、「最近話題になった有名女優のお相手がやっているレストランです」と、声を潜めて教えてくれた。
8月末になると山は秋の気配となり、空気も澄んで山もクリアに見えるようになる。
また秋の花はもちろん、夏の名残の花も楽しめる。
高山植物と迫力ある白馬岳の眺めを期待して訪れたが、尿漏れパッドにお世話になるほど歩くことも無く、まったくの空振り三振に終わった二日目であった。
この日の宿は、長野から新潟に入った所にある姫川温泉の「ホテル国富 翠泉閣」
30年近く前に一度お世話になった宿である。
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