竹橋から平河濠沿いの「紀伊国坂」という、緩やかな坂を千鳥ヶ淵方向に向けて歩くと、やがて高い石垣の上に「北桔橋(きたはねばし)門」が見えてくる。
この北桔橋門は、江戸城有事の際に、大奥など本丸から、直接外部に通じる搦手門として位置付けられている。 天守閣に一番近く、背面に位置することもあり、濠を深く・石垣も高くして、堅固な防衛力を持っていた。
美しい平川濠の石垣
竹橋から北桔橋門に向かって歩くと、幾重にも折曲がった美しい石垣を見ることができる。 これは「ひずみ」という工法だそうで、石垣の直線が長く続くと、強度が落ちることを防ぐためだそうだ。
堅固な北桔橋門
高い石垣の上に、白い築地塀を両袖に持つ北桔橋門が見えてくる。 このあたりの石垣の高さは18.5mもあり、江戸城の石垣の中で最も高いそうだ。
ヨーロッパの城壁と異なり、日本独特の優美で、かつ壮観な眺めである。
跳ね上げ式の橋が架かっていた
平川濠と乾濠を分ける土塁は、石垣の手前で大きく切り込みが入り、その上を小さな橋が渡されている。 現在は東御苑への出入り口の一つで、門の奥には天守台の石垣が見えている。
この橋は有事に備え、橋が跳ね上がる仕組みになっていた。 往時はほとんど跳ね上げた状態だったようで、現在も高麗門の柱に、跳ね上げるための金具が残っている。
橋の上から平川濠の石垣を眺める。 本丸の背面という重要な位置なので、石垣はさすがに高い。 更にその上に築地塀もあるので、侵入者は登る気も失せるであろう。
北桔橋門より入城
橋を渡って江戸城本丸へ入城、高麗門を振り返ってみる。
この北桔橋門は、往時は枡形となっていて、高麗門をくぐって左に曲がると渡櫓門があった。
目の前は天守閣
現在は渡櫓門は撤去され、跡形もない。 そして目の前には天守台が大きく横に広がっている。
天守台側から高麗門を振り返る。
半蔵門も北桔橋門と同じように、深い濠の上にあるが、こちらは高い土塁の上である。 北桔橋門は高い石垣の上であり、より堅固で壮大、重厚感を持っているように思える。 そして白い築地塀が日本の城の優美さを醸し出している。
竹橋側に少し離れた所から見る、高い石垣の上にある北桔橋門の眺めは、現在の江戸城の周りで最も好きな景観の一つである。