王宮見学中に雨が降り出し、しばらく雨宿りをした後にヘネラリーフェに向かう。 ヘネラリーフェとは、王族の夏用の離宮である。 王宮から丘の上を目指して15分ほど歩くが、噴水や池と、緑豊かな庭園の中を散歩しながら歩くことができる。
ヘネラリーフェ
イベリア半島を支配したイスラムの民は、乾燥した北アフリカから来たベルベル人(ムーア人)だそうだ。 砂漠の民にとって水は貴重なもので、自宅に池や噴水を作ることは最高の贅沢だったようだ。
下の庭園
「下の庭園」は20世紀に入ってから整備されたもので、噴水や水路、糸杉や刈り込まれた緑の中を、庭園散策が楽しめる。
アセキアの中庭
下の庭園を抜けると、離宮の建物である。 離宮の建物はそれほど華麗さはなく、王宮のほうが圧倒的に美しい。 しかしこの離宮の特徴は「水」だそうで、「アセキアの中庭」が有名である。
池や噴水などの豊富な水は、シェラネバダ山脈から水を引き、高低差を利用して噴水や池に水を流している。
ヘネラリーフェからアルバイシンとアルハンブラ宮殿を望む。
イスラムのナスル朝絶頂期の頃に、このアルハンブラ宮殿は建てられ、やがてレコンキスタによりイベリア半島を追われる。 城を明け渡したムハマンド11世は、現在のモロッコに落ち延びたが、その後歴史上から姿を消したようである。
戦に敗れて城を去る国王の姿と、その胸中を想像すると、華麗で繊細な装飾を持つアルハンブラ宮殿は、滅びの美学で一層の磨きがかかって、心の中に染み込んでくるようであった。