昨年末に母が亡くなり、小さな土地と家が遺された。 しかし その土地の登記は、20年以上前に他界した父の名義のままなのである。
「名義変更を!」と思いつつ先延ばししてきたが、このまま放置して自分が死ぬと相続が複雑になる。 自分の代のうちに整理しようと、登記の所有権移転をすることにした。
それも司法書士に頼らず、自分でやってみようと無謀なチャレンジである!
最初に法務局へ
まずは相続対象の土地・建物の登記簿謄本を得るため法務局へ。
ついでに「土地の名義変更をしたいが、マニュアルの様なものは無いか?」と聞くと、「相続登記に必要な書類」というタイトルの十数ページの説明書をくれた。 併せて「予約制で相談窓口があるので、そこで良く聞くように・・・」と教えてくれた。
マニュアルとネット上の参考記事を読み込む
ネットで検索すると、申請方法や書類の記入方法などを説明した記事は多数ある。 法務局から貰ったマニュアルを中心に、ネットも含めて読み込んでいく。
しかし面白くもなんともない文章、すぐに眠くなる・・・
何となく手続きの概要が見えてきた
眠さをこらえて読み進めると、作成する書類、揃えるべき書類などが判ってきた。
「これならできる!」、「司法書士代は自分の小遣いに・・・」と卑しい考えで、書類を作成しはじめる。
法務局相談:1回目 思わぬ指摘を受ける
何とか登記申請書や相続関係説明図を作成し、必要書類も整えて法務局の相談窓口でチェックしてもらう。 そこで思いがけないことを指摘された。
母が亡くなったので、被相続人を母として書類を作成したが、相続した不動産は父の名義であり、その相続人は母と、姉、妹、私の4人でなければいけないそうだ。
父は20年以上前に亡くなったが、どうも相続に時効というものは無いようだ。
数次相続というそうだ
父名義の不動産を、母名義に移転登記する前に母も亡くなってしまった・・・ このようなケースを「数次相続」というそうだ。
相談窓口の方が親切に教えてくれ、書類関係をどの様に修正するかまで下書きを書いてくれた。
遺産分割協議書も作り直す
この数次相続のため、登記とは全く別に作成した「遺産分割協議書」にも修正が必要とのこと。
遺産分割協議書の「被相続人」は父であり、母は「父の相続人 兼 被相続人」という位置付け。 そして私達兄弟(姉と妹)は「父の相続人 兼 母の相続人」となるそうだ。
大阪など離れて暮らす姉などから再度実印を貰いなおすことを考えると、一瞬頭がクラッ!としてしまった。
法務局相談:3回目 最終確認と申請手続き
「数次相続」用に修正した「遺産分割協議書」の実印も揃い、法務局へ3回目の足を運び、相談員の方に申請書や添付書類などの最終確認をお願いする。
特に問題は無いとのことで、登録免許税の金額の印紙を購入。 相談員の方がペタペタと印鑑を押印して、提出用にまとめてくれたので、そのまま申請窓口に提出して完了である。
「登記識別情報通知書」が送られてきた
申請して約2週間後に、「登記完了証」と「登記識別情報通知書」が法務局から送られてきた。
この「登記識別情報」というのは権利証に代わるもので、目隠しシールの下に12桁の暗証番号のようなものが書かれているそうだ。
相談員の方からは、「シールを剥がさずに、そのまま大事に保管しなさい」と云われたが、ついつい剥がしてみたくなるのが人情。 この誘惑をグッと堪え、重要書類として貸金庫へ・・・ 一件落着である。
この登記の名義変更手続きを自分でやってみると、それほど難しいものではなかった。 もちろん法務局の相談員の方が親切だったことも大きいが、要するに法務局へ何度も足を運ぶ手間を惜しまなければ自分でも処理できるだろう。
私の場合は3回で終了したが、小さな宅地だけだから単純で、田畑や山林などを持っている場合はもっと複雑かもしれない。
これで名義変更は終了した。 次は売却である。