永平寺 写経で邪心を払い心を清める?

永平寺唐門

旅行日 : 2019年3月4日~3月6日

福井の旅2日目。 昨日の雨から一転して青空が広がり、この日の最初の目的地である「大本山永平寺」に向かう。

昨日三国の宿の女将が、「昨年は雪で大変だったけど、今年は雪は少ない」と話していたが、街中にはまったく雪はなく、それほど寒くもない。

雪がしんしんと降る中で、雪に埋もれる永平寺を見たかったのだが、まったく雪国に来たという雰囲気ではない。 これも異常気象のせいなのか?

 

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えちぜん鉄道 ローカル線を楽しむ

宿を出て、「えちぜん鉄道」の三国港駅から永平寺に向かう。

三国湊港駅

車窓からは見渡す限り畑や田んぼが広がり、のんびり2両で走る電車はのどかである。

福井市内から何もない田園地帯を抜け、三国まで鉄道を敷設したということは、芦原温泉と東尋坊に観光客の誘致と、繁栄していた三国とを結ぶためだったのだろうか?

永平寺で写経に挑戦

「えちぜん鉄道」の永平寺口駅で下車し、そこからバスで永平寺に向かう。

永平寺は道元禅師により寛元2年(1244)に開かれた曹洞宗の大本山で、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン(日本編)」で二つ星を獲得している。

禅宗の中で最も修行が厳しく、今でも約160名の雲水と呼ばれる修行僧が修行生活を送っているそうだ。

唐門

永平寺バス停から、土産物屋が並ぶ門前町をしばらく歩くと、永平寺入口に到着。 しかし そのまま通り過ぎて「唐門」に向かう。

一般の人が通ることはできないが、樹齢500年といわれる大杉に囲まれた重厚な造りは見応えがある。

永平寺唐門

永平寺入口

唐門から戻り、永平寺入口から参拝受付に向かう。 木々が生い茂る参道に足を踏み入れると、凛とした空気が漂っている。

永平寺

吉祥閣

受付で拝観料を払い、まずは「吉祥閣」という大きな建物に入り、靴を脱いでビニール袋に入れ、持ったままご入場である。

永平寺吉祥閣

見学の前に写経で心を清める

ただ境内を見学するだけでは単なる観光になってしまう。 そこで「座禅」はきついので、「写経」を行おうと申し込む。

写経セットを受け取って写経道場に行くと、まだ誰もいない。 幸いなことに椅子席が2つあり、正座での写経を回避することができた。

永平寺写経部屋

写経は千葉の成田山に続いて2度目であるが、成田山では薄墨で書かれたような下書きをなぞって般若心経の写経を行った。

しかし永平寺はお手本を見ながら写経する、想定外の本格的な写経であった。

 

このやり方では般若心経は文字が多すぎ、集中力は続きそうもない。 もう一つのお手本を見ると、文字数が断然少ない。

何のお経か判らないが、文字が少ないほうを選んで写経開始・・・

写経

字の汚さには絶対的な自信を持つが、何とも酷い字・外人が書いたような文字である。 写経したのは「七仏通誠偈」と「十句観音経」というものであった。

このような酷い字でも図々しく納経したら、後日立派な「納経之證」が送られてきた。

永平寺参拝のマナー

写経を終え「吉祥閣」1階の大広間で、参拝のポイントや注意点の説明を聞く。

基本的には参拝順路に従って進み、立ち入り禁止の場所以外は自由に見学して良いとのこと。 また写真撮影も、修行僧に直接カメラを向けなければ撮影自由であった。

傘松閣

最初に向かったのは「傘松閣(さんしょうかく)」と呼ばれる156畳敷きの大広間で、その天井には230枚もの日本画が描かれている。

花鳥風月の絵が大半だが、鯉、唐獅子、リスが描かれた5枚の絵があるというので探してみたが、首が痛くなってしまった。

傘松閣

僧堂

雲水の修行の道場で、坐禅・食事・就寝など、一日の多くをここで過ごすそうだ。

訪れた日には内部の見学はできなかったが、中からお説教のような声と、それに応える「ハィ!」「ハィ!」という大きな声の返事が聞こえてきた。 まさに修行の最中だったのだろう。

永平寺

回廊で結ばれるお堂

永平寺には「七堂伽藍」という、雲水の修行に欠かせない建物がある。

この建物間は長い回廊で結ばれ、雲水たちが毎朝雑巾がけをしてピカピカに磨き上げている。

永平寺

雲水たちは鳴らし物で動いている

雲水たちの生活は、朝は振鈴と呼ばれる鈴の音で起床し、夜は開枕鈴で静かに眠る・・・ すべて鳴り物が行動の合図になっているそうだ。

廊下に吊られたこの鐘板は、何の知らせを行うのだろうか?

永平寺

法堂

朝のお勤めを行う説法の道場である。 いわゆる本堂にあたり、中央には「聖観世音菩薩」が祀られている。

永平寺

大庫院(だいくいん)

永平寺の台所である。 この大庫院の前には、長さ約4メートルという巨大な「すりこぎが」が吊るされている。

この「すりこぎ」に触れると、料理が上手になると云われているようで、皆に撫でられて木目が現れている。

巨大すりこぎ

大庫院の正面には、足が速いことで有名な「韋駄尊天(いだそんてん)」が祀られている。 今年のNHK大河ドラマの「いだてん」の由来である。

「温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいままで食事を運べるように・・・」という意味合いがあるようだ。

韋駄尊天

山門

永平寺の中で最古の建物で、釘を1本も使わずに造られている。

雲水の人生で2度、入門時と修行を終えた時だけ通ることが許されているそうだ。

永平寺山門

山門の天井を見上げると、永平寺の山号の由来を記した「吉祥の額」が架かる。

吉祥の額

昼食は越前おろしそば

福井に来たら、「カニ」だけではなく「越前そば」も食べておかないといけない。

冷たい蕎麦に大根おろしと刻みネギ、鰹節がトッピングされ、冷たい出汁をかけて食べる、いわゆるぶっかけ蕎麦である。

昨日、雨の東尋坊でも食べたが、美味しかったので2日続けて食べてしまった。

おろしそば

旧京福電気鉄道・永平寺駅跡

永平寺のバス待合室の裏手を見ると、擁壁で一段高くなっている。 廃線となった京福電気鉄道の永平寺駅跡である。

サイクリングロードにでも変わったのか、休憩所も設けられているが、もう少し廃線の雰囲気を残してあると良いのだが・・・

永平寺駅跡
 
永平寺は今回2度目の訪問であったが、初めて来た時からはかなりの月日が流れている。 そして歳を重ね・・・ いや重ねすぎたためか、「写経」をやろうと思いついた。

一心不乱に写経に集中することで邪心を払い、心穏やかになるつもりであった。

しかし写経中も様々な雑念が頭をよぎり、その心が酷い字の写経として現れてしまった。

修行の足りなさを実感したが、「凡人はこんなもんだろう!」と勝手な言い訳と、あまり反省することなく、バスで福井市内に向かうこととなった。
 


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