2017年2月24日
成田山新勝寺での「大人の修行体験」参加の為、成田を訪れた。 朝8時頃に京成成田駅に着き、集合まで時間の余裕があったので、「成宗電気鉄道跡」を歩いて新勝寺へ向かった。 天気予報では雨だったが、幸運にも雨はあがっていた。
この「成宗電気鉄道跡」は、今年の正月に、NHKの「ブラタモリ」と「鶴瓶の家族に乾杯」のコラボ番組でも紹介されていた。 もちろん訪れたのはタモリである。
【成宗電気軌道】
成宗電気軌道とは、宗吾霊堂と成田山新勝寺の参拝客輸送を目的として、明治44(1911)年に開業。 全線5.3kmの鉄道である。
当初は参道に軌道を敷設予定だったが、「参拝客が参道を素通りしてしまう」と猛反対を受け、参道東側に迂回ルートが開かれた。 しかし戦時中に資材不足が深刻化し、昭和19年(1944)、不要不急線として全線廃止されて、鉄を供出させられた。
築堤上の電車道
京成成田駅前を右に進み、京成電車の線路沿いに歩く。 やがて左前方に、急斜面を持った土手が見えてくる。 軌道跡の大築堤である。
築堤上の軌道跡は市道となり、中学生や高校生の通学路となっていた。 春には桜並木になるようである。
この軌道跡の道は、「電車道」という愛称で呼ばれている。
第2トンネル
やがて前方にトンネルが見えてくる。 第2トンネルである。 入口上部は、コンクリートか何かで補修されているのが残念である。
トンネル内部もレンガ積みが残されているが、少し痛み始めているのだろうか?
新勝寺側の出口には、「土木遺産」認定の看板があり、詳しい解説もある。
第2トンネルの新勝寺側出口を見る。 凝った造りと、駅側の入口に比べ、傷みも少なく綺麗に残されている。
切通しの土手上から見下ろす。 この軌道は、京成成田駅を出た所は谷に築堤を築いて渡り、その先は山を掘削して、切通しを拓いている。
第一トンネル
トンネルというより、跨線橋のような短い第1トンネル。 駅側の入口は、ひび割れが生じたのか、金具の補強が痛々しい。
駅側入口に、「成宗電車のトンネル」と書かれた標柱が立つ、
第1トンネル新勝寺側入口。 第2トンネルと同じように、新勝寺側の入口は凝った造りとなっている。
成宗電気鉄道は、複線の軌道として建設された。 そのお蔭で車道も二車線が確保され、トンネルも拡幅改修を受けることなく、ほぼ鉄道時代の姿を留めている。
宗吾霊堂と成田山新勝寺の間だけという、現在では考えられないような区間に、なぜ鉄道を敷いたのか? 採算の取れそうにない路線だが、当時は黒字だったそうである。
現在はパワースポットブームなどで寺社を巡る人も多いが、昔はレジャーといえば、お伊勢参りに代表される、寺社への参拝が最大の娯楽であった。 この点を考えると、「こんな所に?」と思える場所への鉄道建設も納得するのであった。