日本の怪談話の代表作といえば「四谷怪談」だろう。 「ヒュ~ゥドロドロ」という恐ろしげな効果音とともに現れるお岩さん。
四ッ谷とは全く関係ない場所に、この「お岩さん」のお墓があるという。 中山道から少し外れるが、好奇心にかられて足を向けてみた。
四谷怪談「お岩さん」の墓
墓 所 | 妙行寺 |
所在地 | 東京都豊島区西巣鴨(地図) |
街 道 | 中山道 日本橋~板橋宿間 |
お岩さんは実在の人物だった!
四谷の「お岩稲荷」に残る文書によると、四谷に住む武士・田宮又左右衛門の娘が「お岩」で、浪人の伊右衛門を婿にとったそうだ。
この伊右衛門が他の女に目がくらみ、お岩は離縁され錯乱して失踪。 以降田宮家に異変が相次ぎ、この田宮家の跡地に建てたのがお岩稲荷だそうだ。
東海道四谷怪談
鶴屋南北が書いた「東海道四谷怪談」。 これにより、お岩さんは悲劇のヒロイン また怨念の塊として、現代まで語り継がれることになった。
毒を盛られて髪が抜け落ち、顔も崩れて狂乱のていで悶え死ぬ。 そして戸板返しや提灯抜けなど、恐ろしい場面がてんこ盛り。 盛りに盛られて、怪談話のトップスターとして不動の地位を築き上げたのである。
飲まされた毒は「トリカブト」と何かで読んだことがあるが、「トリカブト」なら山に行けばすぐに手に入る。 しかしトリカブトの毒で、お岩さんのようになるとは聞いたことがない。
お岩さんは神様となったのか?
お岩さんのお墓のある妙行寺へ行く道は、ずばり「お岩通り」。 夜一人歩きすると怖そうだ・・・
お寺の説明書によると、「お岩様に塔婆を捧げ、熱心に祈れば必ず願い事が成就する」とある。
「えぇ~!! 神様になったん?」と突っ込みたくなるが、あまり突っ込むと祟られそうなので、素直に手を合わせてきた。
四谷の「お岩稲荷」は家内安全・商売繁盛などの御利益があるそうだが、縁切りをお願いする人も多いそうなので、いずれにしても神様になったようである。
浅野内匠頭の正室「瑤泉院」の供養塔もある
忠臣蔵で有名な浅野内匠頭。 江戸城・松の廊下で、ぶち切れて吉良上野介に斬りかかり、切腹をした人物である。
この浅野内匠頭の正室「瑤泉院」の供養塔が、お岩さんの墓の近くにある。
夫や赤穂浪士と同じ泉岳寺に瑤泉院のお墓はあるが、なぜここに供養塔があるのかはわからない。