バルセロナといえば、サグラダ・ファミリアに代表される、アントニ・ガウディによる作品群である。 19世紀から20世紀にかけ、モデルニスモと呼ばれる、フランスのアールヌーボーと類似した、曲線を多用した建築家の代表である。
サグラダ・ファミリアはもちろんのこと、グエル公園やカサ・バトリョなどの入場チケットは、ネットで事前に予約しておいた。
サグラダ・ファミリア
1882年に着工以来いまだ未完成で、現在も工事中ということは良く知られている。 平成9年に一度訪れているが、その時は塔は3本で、大聖堂なども出来ていなかった。 今回再び訪れる機会を得たが、前回から大きく工事が進み、あまりの建築美に圧倒される思いであった。
大きな空間を持つ大聖堂に入ると、樹木のように途中で枝分かれした柱が林立する。
ガウディは自然が大好きで、”教会の中を森のようにしたい”と言っていたそうだ。 高い木々を思わせる柱には、木漏れ日のように鮮やかな色彩の光が降り注ぐ。
祭壇には、降り注ぐ光を見上げるようなキリスト像が祭られている。
着工した1880年代には、完成するまで300年かかると言われていたそうである。 しかし現在の完成予定は2026年。 ITを駆使することで、150年以上工期を短縮したことになる。
グエル公園
サグラダ・ファミリアからサン・パウ病院を回り、そこから市バスを利用してグエル公園に移動する。
グエル公園は、グエル伯爵の依頼でガウディが住宅地として設計。 しかし全く売れず、購入したのはグエル伯爵と、ガウディの2軒のみだったそうである。
中央広場
破砕タイルに飾られた、波打つベンチが続く。
列柱ホール
中央広場の下は、市場になる予定だった列柱ホールである。
天井もタイルで装飾されている.
回 廊
“崩れてしまうのでは?”と思わせる、回廊の石積み。
「洗濯女の回廊」と名の回廊。 ガウディらしい曲線に目を見張る。
カサ・バトリョ
1877年に建てられたバトリョ邸を、ガウディが海をイメージして改築した。 廃棄物の陶器やガラスを利用した装飾で、今でいうリサイクルである。
バルコニーの形は、ヴェネチアの仮面舞踏会を連想させる。
巻貝が渦潮か? 私はイソギンチャクかと思ったが、アールヌーボー的な照明である。
波を連想する曲線の窓枠と、波しぶきを表すというステンドグラス。 海底から外を眺めているようである。
カサ・ミラ
実業家のペレ・ミラからの依頼で建てられた集合住宅で、驚いたことに現在も数軒が住んでいる。 この居住区画は見学ができないが、一般に開放されたフロアや、屋上などが見学できる。
波打つ外観を持つカサ・ミラは、地中海に見立てたデザインだそうだ。
この建物のオーナーの部屋に上がる階段らしい。 幻想的というか、海の底をイメージした装飾なのだろうか?
屋上には、鉄仮面のような換気塔が何本も立つ。
カサ・ミラの賃貸住宅は、高額な家賃と外観の見た目の悪さから、建築当初は借り手がつかなかった。 そこで3世代値上げしないことを条件に賃貸契約がなされ、この契約を代々引き継いで、現在も4世帯が暮らしている。 それも7部屋付きで、家賃は1200ユーロだそうだ。
ガウディの建物は他にも多くあるが、今回は観光客に人気の有名どころだけを見て回った。 実にミーハー的だ・・・