2012年5月27日(日)
古くから風待ち、汐待ちの港として栄えたという大崎下島の御手洗地区は、とびしま海道のメイン観光地の一つである。
岡村島から大崎下島に入り、時計回りに走ると御手洗地区に到着する。 国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、伊能忠敬やシーボルトも、この地を踏んでいるという歴史ある街である。
レトロな街並み 御手洗地区
御手洗地区は、江戸時代から昭和30年頃まで栄えていたそうである。 背後に山を抱えたわずかな平地に、商家や町屋、洋館、劇場などが、細い路地に密集している。
日曜であったが、街中に観光客は少なく静かであった。 飛騨の高山や木曽の妻籠なども同じ雰囲気を持つ街であるが、土産物屋ばかりになってしまっている。 その点この御手洗地区は、昔の雰囲気を保っているところが素晴らしい。
御手洗の街並み
海岸沿いの道から一歩入ると、そこにはタイムスリップしたような世界が広がる。 細い路地に、江戸時代から昭和初期にかけて建てられたという古い家並みが続き、白いなまこ壁と木造の格子戸が、風情ある雰囲気をかもしだしている。
江戸時代の商家を改築したという「潮待ち館」で、観光パンフレットなどを手に入れ、街歩きを楽しむ。
家々の玄関先にはすだれが掛けられ、そこに花が活けられてている
微笑ましい交通標識
満舟寺入口の階段下に立つ、ユーモラスな交通標識。 昔はこの近辺に学校があったのだろうか? 手作り感満載で、「足長すぎ!」とか「足開きすぎ!」「半ズボンだぶだぶすぎ!」と突っ込みたくなる標識である。
遊女の商売道具 おちょろ舟
「おちょろ」とは、相手の舟を訪ねて春を売る遊女のことをいうようである。 この時に使っていた船がおちょろ舟である。
遊女を乗せて宵闇の海をカンテラ灯して漕ぎ回り、風待ち・汐待ちで長い夜を過ごす船乗り達の一夜妻を勤めていたそうである。 食べる為・生きる為には止むを得なかったのであろうが、悲しい話である。 今は人通りの途絶えた夜の若胡子屋の前を歩くと、どこからか悲しげな三味線の音が聞こえてくるのではないかと思われる。
昼食は朝獲れ魚の刺身とアナゴ飯
昼食に「なごみ亭」という店に入る。 この店も古い作りで、2階に並ぶ赤提灯が台湾の九份を思い起こす。
メニューを見ると「朝獲れ日替わり」とあったので聞いてみると、今日は鯛のお造りとのこと。 さっそくこの朝獲れ御膳に「あなご飯」を付けて注文する。
次の島 豊島へ向かう
御手洗の古い街と美味しい昼食を堪能した後、次の島である豊島に向かう。 大崎下島の南側を走るが、とにかく車も少なく、ひなびた感じで良い道であった。 やがて綺麗なトラス橋が見えてきた。 豊浜大橋である。