東博 「快慶・定慶のみほとけ」展と常設の仏像

快慶・定慶

 
先月 母が永眠し、葬儀終了後の役所・年金事務所などの手続きも一段落したので、先週 上野の東京国立博物館(東博)で開催されている「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展を見に行ってきた。

昨年秋に、同じ東博で開催された「興福寺中金堂再建記念特別展・運慶」を見に行ったので、今回の快慶も見逃す訳にはいかない。
 

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「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展

中学か高校の歴史 または美術の授業で、京都や奈良の寺院の仏像の彫り師として、運慶・快慶という名を習ったことを覚えている。

今回の特別展は、この快慶とその一派が、京都の古刹・大報恩寺に残した六観音菩薩像などの名品が展示されている。

「釈迦如来坐像」と「十大弟子立像」

快慶の弟子・行快作の「釈迦如来坐像」と、快慶作の「十大弟子立像」が同じ部屋に展示されている。

広い部屋に展示されているので、各像をぐるりと360度の方向から見ることができ、仏像とも異なり、実にリアルな表情を持っていた。

 
快慶・定慶

六観音菩薩像

運慶の弟子といわれる「定慶」作の六観音菩薩像。 地獄をはじめ、六道に堕ちた人々を救ってくれるそうで、光背が外されて展示されていた。

 
快慶・定慶

これらの写真は、東博のパンフレットから借用したものである。 A4見開きの4ページからなるパンフレットで、仏像や釈迦の10人の弟子たちの名前と、簡単ではあるがそれぞれの説明が記されており、結構役に立つパンフレットである。

聖観音菩薩立像

重要文化財である六観音菩薩像のうち、聖観音菩薩立像の写真撮影が許されていた。

「聖観音」とは六観音のなかの一つで、観音様の基本形だそうだ。 十一面観音や千手観音と異なり、1面2臂の像 つまり1つの顔に2本の腕を持っている観音様を聖観音と呼ぶようである。

聖観音聖観音

このように展示物の一部の写真撮影を許可する美術展が増えてきている。 もちろんフラッシュは厳禁だが、嬉しい傾向にある。 これもSNSなどへの投稿で宣伝してもらい、入場者数のUpへ繋げる目論見があるのだろう。

常設展の仏像たち

妻が以前から見たいと言っていた、重要文化財指定の「木造 菩薩立像」が展示されているというので、常設の仏像コーナーに立ち寄った。

木造 菩薩立像(重要文化財)

妻は仏像の写真集を見て、この仏像を知ったそうである。 確かに実際に見ると、綺麗な姿をした仏像であった。

kaikei-7

ガラスケースに背後の明りなどが写り込んでしまったが、腰を緩やかに曲げ、気品ある顔だちと姿をしている。

13世紀後半の作らしく、持物が無くなっているので単に「菩薩立像」となっているが、本来は「弥勒菩薩像」であったと考えられているそうだ。

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広目天(国宝)

12世紀の平安後期の作で、京都の浄瑠璃寺にある四天王像の中の一体。

この広目天が身につけている甲冑は、中国の唐の時代の武将の姿だそうだが、迫力ある姿である。

広目天

愛染明王坐像(重要文化財)

愛染明王は赤い体に忿怒の形相で、3つの目と6本の腕を持ち、蓮華座に座っていることが特徴だそうだ。

愛染明王

恐ろしげな表情を持つ仏像だが、愛染明王の働きを調べると、愛欲や欲望などの煩悩を、悟りの境地まで導いてくれる力を持っているそうだ。

これは私のような煩悩の塊で生きている人間にとっては、大変有り難い明王であることを知った。

 
 
今回の「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展は、平成館の特別展示室の半分だけであり、残りの半分は「マルセル・デュシャンと日本美術」という別の特別展が開催されていたが別料金であった。

ヨーロッパの美術館の多くにはシニア割があり、パスポートを見せれば日本人でも割り引いてくれる。 また日曜などは無料で入場できるところもある。

このようなヨーロッパの美術館に比べ、日本の美術館はとにかく「入場料が高い!」と思っているのは、私だけであろうか???
 


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