北方謙三「大水滸伝」 全51巻 読破!

大水滸伝
北方謙三著の大水滸伝、三部作をついに読み終えた。 「水滸伝」全19巻、「楊令伝」全15巻、「岳飛伝」全17巻の、計51巻である。

最初に読んだ「水滸伝」は、いったいいつ頃だったのか? 途中、同じ北方謙三の「三国志」全13巻を読んだりしながら、恐らく10年近くの歳月をかけて読んでいると思う。 我ながら、ずいぶん根気よく読んだものだと感心する。

 

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水滸伝とは

「水滸伝」は、中国の明の時代に書かれた小説で、「三国志」「西遊記」「金瓶梅」と並ぶ、「四大奇書」の一つと云われているそうだ。

時代は北宋末期、108人の好漢(英雄)が「梁山泊」に集まり、不正のはびこる国の打倒を目指す物語である。 この「水滸伝」は大好きで、吉川英治をはじめとして、駒田信二、陳舜臣など、何人かの水滸伝を読んでいる。

しかし、この北方謙三の「水滸伝」は圧倒的に面白い。 全19巻という長さに怯んでしまいそうだが、読み始めると「血沸き・肉躍る」とのめり込む。 そして次に続く「楊令伝」を読みたくなり・・・ と引き込まれてしまうのである。

すべて図書館から借りて読む

大水滸伝は、3部作で51巻もある。 文庫本もあるが、自分で購入すると結構な金額になる。 更に金額以上に問題なのは、本棚のかなりの部分を占めてしまうことである。 そのため、最初から意識したわけではないが、家の近くの図書館を利用した。

ネット予約もできるので、図書館は便利であると、改めて思い知ることが出来た。

北方水滸伝の面白さは・・・

北方謙三の描いた「水滸伝」の世界は、他の水滸伝と比較し、圧倒的に面白い。 その点では、まったく別物の「水滸伝」と言っても過言ではないと思う。 戦闘シーンに固唾を飲み、梁山泊の仲間が死ぬシーンにはホロリとさせられる。 いかにも北方謙三らしい、漢(おとこ)の世界である。

また青蓮寺という、現代風にいうと「政府の秘密機関」との死闘など、他の水滸伝には無いストーリーも加えられている。 そして最後は、官軍の童貫元帥との闘いに敗れ、梁山泊は壊滅する。 読み終わった時には、思わず「フッ!」とため息というか、脱力感が広がるような小説である。

NHKの大河ドラマのごとく連綿と続く物語

一般的な「水滸伝」は、梁山泊が官軍に敗れて終わりである。 しかし北方水滸伝では、敗れた梁山泊の志は、若き「楊令」、更に中国随一の英雄「岳飛」へと引き継がれていく。 NHKの大河ドラマは、歴史の連続性とは無関係に毎年放映されるが、この大水滸伝は、連続性を持った大河ドラマを、3年続けて見ているようなものである。

しかし「楊令伝」、「岳飛伝」と読み進めると、「水滸伝」にあったようなワクワク感は、失われてくるような気がする。 特に「岳飛伝」では、史実としての岳飛を知っていたことも原因の一つかもしれない。

更に先に続くのか?

大水滸伝の3部作を通じ、吹毛剣(すいもうけん)が出てくる。 この吹毛剣は、北方謙三が「吉川栄治文学賞」を受賞した「楊家将」という小説からの流れである。

「岳飛伝」の最後では、この吹毛剣を受け継いだ「胡土児」は北の国に消えている。 また中国との交易を目指す日本人、炳成世(へいせいせい)のその後など、興味は尽きない。

この「吹毛剣」や、赤い旗を掲げる「炳成世」という武士を考えると、物語は更に拡がりを持つ。 果たして北方謙三はどうするのか? 続きを読みたいという思いがある一方、後は読者の想像に任せてしまった方が良いという気もする。

しかし やはり読みたい・・・ 期待してるぜ「北方謙三」!

 


 

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