成田山新勝寺 1日修行体験で写経と般若心経

成田山新勝寺

2017年2月24日

成田山新勝寺。 正月の混雑を避け、周回遅れの初詣などで何度か訪れたことはある。

そして今回は、何をトチ狂ったか、「1日修行体験」への参加である。 今までの人生での罪を贖い、煩悩から脱却した穏やかな老後を過ごそうと、出家できるか否かを試してみる良い機会である。 まぁこれは後付けの理由で、要は単なる興味本位である。

 

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お坊さんたちの朝は早い!

某地域新聞主催の、「大人の修行体験」というツアーへ、妻と二人で参加した。 ツアーといっても、8時半の現地集合。 現地とはもちろん成田山新勝寺である。 「8時半???  成田へ???  早すぎる・・・」 それも天気予報によると、雨で風も強い荒れ模様である。

6時半に自宅を出発。 京成電車を利用し、8時には京成成田の駅に降り立つことができた。 少し早いので、写真を撮りながら集合場所へと進む。

成田山新勝寺 総門

京成の駅から、10分ほど歩くと総門である。 朝早いので、観光客はまだいない。

成田山総門

仁王門

天保2年(1831)に再建されたもので、国の重要文化財。
広目天や多聞天が安置され、境内入口でで伽藍の守護を担っているそうだ。

成田山仁王門

仁王様の健脚にあやかりたいと、たくさんの「わらじ」がぶら下がる。

成田山仁王門

三重塔

正徳2年(1712)建立というが、近年修復されたのか、極彩色に彩られている。

成田山三重塔

大本堂

節分の時、相撲の横綱や芸能人による豆まきの様子がニュースで流れる。 この大本堂の前で行っているのだろう。

成田山大本堂

大人の修行体験へ

大本堂地下の広い講堂のような所がツアー受付であった。 参加者は20名程度であり、予想はしていたが大半は女性。 男性は私を含めて3名だった。
新勝寺のお坊さんから、1日の予定などの説明を受け、早速の修行開始である。

修行体験

御護摩祈祷

最初の修行は、本堂での護摩祈祷への参加である。 無料で誰でも参加できる一般席と異なり、今回は特別席。 御護摩のすぐ横で、祈祷するお坊さんの一挙手一投足を間近で見ることができた。

また自分の大切なものをお坊さんに預け、御護摩の火に当ててもらう「御火加持(おひかじ)」という所作もある。 これは御護摩の火にあてて、お不動様のご利益を得るそうで、もちろん私は財布の入ったバッグを預けた。 ご利益に期待・・・

護摩祈祷が終わると、「お手綱参拝」である。 お不動様の左手に結ばれた五色の綱を手に持つことで、お不動様と一体となり、ご利益を授かる参拝である。 ご本尊前の手摺りのような棒に、綱がぐるぐる巻きになっている。 7~8mほどであろうか、この手摺り触れながら歩く。 歩きながらお不動様を見ようと祭壇を覗いたが、暗くて良く判らなかった。

本堂内は写真撮影禁止なので、残念ながら写真はない。

腕輪念珠作成

護摩祈祷から戻ると、次は手首などに巻く「腕輪念珠」の作成である。 要は大きなビーズ細工である。 しかし出来上がった念珠を見ると、色取りは悪いし、各色の珠の数も違う。 あまりありがたみの無い念珠が出来上がった。 失格である・・・

手作り念珠

読経練習と写経

「般若心経」を唱える練習が行われる。 意味は全く不明だが、平仮名の振られたお経を見ながら、お坊さんと一緒に唱える。

そしていよいよ写経である。 薄墨で下書きが書かれている。 「なぞればいいだけじゃん!」と思ったが、大きな間違いであった。

写経体験

習字の筆など、結婚式か葬儀に参列する時に持つぐらいである。 そんな私が、一生懸命下書きをなぞっていたが、半分を過ぎた頃から、「プ、プッ・・・ プッツン!」と集中力が途切れがちになる。 更に早くも書き終えて提出する人の姿を見て焦りが生じる。

何とか時間内に間に合わせたが、基本的な筆遣い(跳ね、とめ、払い)も出来ていない為、仕上がりは惨憺たる酷さであった。

精進料理を頂く

写経を終え、疲れた体にパワーを与える食事の時間である。 もちろんお寺だから精進料理である。

お弁当の蓋を開けると、腐ったパイナップルのようなものが入っている。 これは巨大な「ゴボウ」である。 以前から一度食べてみたいと思っていた、成田山でしか食べられない「大浦ゴボウ」。 思っていた以上に柔らかく、味付けは甘い。

成田山精進料理

大浦ゴボウ

「大浦ゴボウ」は、成田山に奉納されるだけで、基本的に市中に出回ることはないそうだ。 ゴボウといえば、細くて真っ直ぐなイメージだが、食堂に飾られていた大浦ゴボウは、筋骨たくましい仁王様の足のようであった。

大浦ごぼう

座禅と般若心経

昼食の後は、より一層の修行に励むこととなる。 弘法大師が祀られている大師堂で、座禅と、午前中に練習した般若心経を唱える。

体の固い私には、座禅は苦行以外の何物でもない。 ちょっと無理して座禅を組みながら般若心経を唱える。 「色即是空~ぅ、空即是色~ぃ ぎゃーてぇーぎゃーてぇー はらぎゃーてぇー!」。 や・やばぃ・・・ 足がつる!!!

何とか乗り切った後は、大師堂の雑巾掛け。 勤労奉仕も修行のうちか・・・

諸堂巡拝

一番体にきつい座禅を終え、最後は境内に立つお堂の巡拝である。 お坊さんからの説明を聞きながら、気楽に古いお堂の見学を続けたが、最後に一発! ダメ押しの座禅が待っていた。

釈迦堂

安政5年(1831)建立の一代前の本堂で、総欅作りだそうだ。

成田山釈迦堂

お堂の周囲には五百羅漢や二十四考の彫刻が彫られている。

釈迦堂五百羅漢

額 堂

文久元年(1861)建立で、奉納された額や絵馬が掲げられている。

成田山額堂

光明堂

元禄14年(1701)建立。 現存する一番古い本堂だそうだ。 縁結び祈願所となっており、私のような年寄りには縁結びは関係ない。

成田山光明堂

平和大塔と再度の般若心経

気楽に諸堂巡拝を続け、最後に「平和大塔」という、近年建てられたお堂に来た。 新しいお堂でもあり、あまり興味もなく見て回ったが、祀られていたお不動様の前で、再度座禅を組みながらの般若心経を唱えさせられた。

「ひぇ~っ! 神様 仏様 キリスト様。 あっ 足がぁ! つりまする~ぅ!」

 

かくして厳しい修行の一日を終えた。 心を込めて写経し、一心不乱に般若心経を唱えた。 そして冷静に今日一日の自分を見つめ直してみた。 「朝早いのは苦手だ、そして写経の字は余りに酷すぎる。 更に精進料理は量が少なすぎる・・・」。
「自分にはお坊さんは無理である!」ということが判っただけでも、本日の収穫であろう。

 


 

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